海と島のマイリ

  • 河出興産 (1996年8月1日発売)
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ある島にドナランという若者がいた。
あるとき、海で海藻を取っているときに、裸の美しい3人の娘を見掛ける。
1人は黒髪、1人は赤髪、1人は金髪。
3人の娘は水浴びして、岩場に掛け家てあったアザラシの毛皮を被ってアザラシの姿になると海へ消えて行った。
ドナランは金髪の娘のことが好きになり、結婚したいと考えた。
そこで、物知りのおじいさんにどうすればいいか尋ねると、また来年、1日だけやって来るからそのときにアザラシの皮を隠してしまえば、娘は若者と結婚する。
だけれど、アザラシの皮は娘の命と繋がっているので乾燥させたりボロボロにしてはいけない。
見つからないように欠かさず手入れをすることを教えられる。
若者が毛皮を隠してしまうと、黒髪と赤髪の娘はアザラシに姿を変えて海に戻ったが、金髪の娘はアザラシの皮がないので、若者と結婚することになった。
若者は娘が名前を教えてくれないのでマイリと呼ぶことにした。
2人の間には男の子が3人、女の子が2人生まれた。
あるとき、末の男の子が朝早くにお父さんが家の壁の穴からアザラシの皮を出して手入れをしているのを目撃する。
どうしてそんなことをするのかとお母さんに尋ねると、今まで笑ったことのなかったマイリが笑顔になり、自分は海にも5人の子供がいることを教える。
娘は今までずっとこっちにいたのだから、今度は海の子供たちに傍にいるように言う。
そうして、1年に一度だけ陸に上がりにやってくると言い、マイリは海へ帰って行った。
それからと言うもの、嵐の日でもドナランの船はアザラシに支えられ難破しなかったり、漁に出ると魚がたくさん捕れたのだった。

アイルランド版羽衣伝説。
本文中には出て来なく、裏表紙に説明があるが、セルキーというアザラシの妖精の話。
海にも家族があるとはいえ、男のもとからみんな去ってしまう日本版より多少柔らかい気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2015/06
感想投稿日 : 2015年6月17日
読了日 : 2015年6月17日
本棚登録日 : 2015年6月17日

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