たかが殺人じゃないか 昭和24年の推理小説 〈昭和ミステリ〉シリーズ

著者 :
  • 東京創元社 (2020年5月29日発売)
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本棚登録 : 108
感想 : 18
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「このミス1位」、「史上最年長89歳での受賞作品」ということで大変興味をもって読みはじめた作品。
でも、申し訳ないけれど私には冗長な部分が多々感じられて飛ばし読みになってしまった。
きっと作者さんにとっては私が冗長に感じた部分も「書いておかねばならない」大切な部分だったのだと思う。そういう部分では主要人物の一人”くーにゃん”が高校生でありながら”パンパンだった”という描写に、当時のリアルを肌で感じた。戦後の売春婦=パンパンという見下した響きしか残っていない言葉がこの小説のなかでは血が通って呼吸している一人の少女になった。このシーンはなかなか考えさせられるものがある。
おそらくそういう部分が多分にある小説なんだと思う。そしてそういう部分がこの小説の持つ価値なんだと思う。が、いかんせん、小説内で起こる殺人事件から引き離される描写が多く、この世界に没頭しきるとこができなかったのが残念。


====データベース====
【ミステリランキング3冠!】
*第1位『このミステリーがすごい! 2021年版』国内編
*第1位〈週刊文春〉2020ミステリーベスト10 国内部門
*第1位〈ハヤカワ・ミステリマガジン〉ミステリが読みたい! 国内篇

一年だけの高校生活。
夏休み中に遭遇した不可能殺人。
17歳の少年と那珂一兵が解き明かす、哀しき真実!

この時代を経験したからこそ描けた、
“ミステリ界のレジェンド”が贈る、圧巻の青春ミステリ

昭和24年、ミステリ作家を目指しているカツ丼こと風早勝利は、名古屋市内の新制高校3年生になった。旧制中学卒業後の、たった一年だけの男女共学の高校生活。そんな中、顧問の勧めで勝利たち推理小説研究会は、映画研究会と合同で一泊旅行を計画する。顧問と男女生徒5名で湯谷温泉へ、修学旅行代わりの小旅行だった──。そこで巻き込まれた密室殺人事件。さらに夏休み最終日の夜、キティ台風が襲来する中で起きた廃墟での首切り殺人事件! 二つの不可解な事件に遭遇した勝利たちは果たして……。著者自らが経験した戦後日本の混乱期と、青春の日々をみずみずしく描き出す。『深夜の博覧会 昭和12年の探偵小説』に続く、“昭和ミステリ”第2弾。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2021年10月19日
読了日 : 2021年10月18日
本棚登録日 : 2021年10月18日

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