高校生の頃にショーを何冊か読みました。友人がサローヤンやカポーティ、サリンジャーなんかを読んでて、それに対抗しようとしたのかもしれません(笑)。
表題作を含めた短編集です。表題作(原題 The Girls in Their Summer Dresses)は夏のニューヨーク市内。サマードレスで街を行き交う女性がとてもはつらつと優美に描かれています。当時だから、今のストレートラインのワンピースじゃなくて、優雅にロングのフレアなんだろうな…糊がきいてるかもしれないし、くたっとしてても素敵…サングラスじゃなくて、日傘とか差すのかな?などと考えるととても楽しかったです。「奥様と歩いているダンナさんがすれ違う女性に目をやる」ときの描写などは、コドモの私には微妙に分からない世界だった(今でも微妙に分かってないかもしれない:笑)のですが、「これぞ『大人の世界』なんだなぁ」と思って嬉しかったものでした。
実はいちばん好みなのは、最後の「愁いを含んで、ほのかに甘く(原題 Wistful, Delicate Gay)」です。タイトルがなんともいえず美しい。常盤新平さん、ナイス翻訳!古い知り合いの女性(今は売れない舞台女優)と再会し、「この街を離れる」と告げられた主人公。さらに彼女から告げられたことは…これこそコドモが知ってはいけない世界(笑)。街を離れる彼女の姿の描写はきっぱりとして素敵です。
ショーの描く世界は理想的にかっこよく、美しすぎる都会なので、読み込めない向きもあるかもしれませんが、私にとって「大人であることのかっこよさ」を教えてくれた本でもあるのでこの☆の数です。
- 感想投稿日 : 2008年4月16日
- 読了日 : 2008年4月16日
- 本棚登録日 : 2008年4月16日
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