中村俊輔 スコットランドからの喝采 THE ZEN OF NAKA The Journey Of a Japanese Genius
- 集英社 (2009年3月26日発売)
スポーツニュースを見ていると、中村俊輔くんが日本に帰ってくるかも、という流れ…。そうすると、この本が賞味期限切れになっちゃう!と急きょ繰り上げ読書です(笑)。
装丁がセルティックのチームカラー、さえた緑をベースにしていてとてもさわやか。でも、原題が"The Zen of Naka"って…おまけに冒頭で孔子なんか引いてるし(苦笑)。やっぱり東洋人のイメージってそこなのー?
切り口は大まかに分けて、中村くんのセルティックでのパフォーマンスと、イタリア時代を含めた、彼をめぐる人々の2つ。特に2006年、ヨーロッパチャンピオンズリーグでマンチェスター・ユナイテッドを破ったときの中村くんのFKは、セルティック・サポーターの間では伝説化しているらしく(たしかに見事だった)、世界各地に散らばったセルティック・サポーターからインタビューを取っている(笑)。
彼を随時取材する、日本の「チーム」も取り上げられており、彼らの多彩な経歴とフットボールジャンキー度は、中村くんとは別の意味でなかなかすげーです(笑)。彼をめぐるビジネスも描かれ、商品としての側面も知ることができます。
ライティングのスタイルが英語のスポーツライティングそのままなので、日本語に置き換えただけではちょっと不自然かな、という気もしました(このへんを調整するのはとても難しいと思いますが)。用語も慎重に選び、チーム名を人物名と区別するためにゴシックで表示するなど、読者フレンドリーに考えてくださっていますが、ゴシックはいらなかったような…この本を読もうというチャレンジャーは、そこをクリアする努力はすると思うので(笑)。
著者さんはスコットランド有数のフットボール記者。故郷グラスゴーの愛するチームにやってきた日本人フットボーラーに興味津々の様子が伝わってきます。フットボールの本場にやってきた日本人スターを珍しがりこそすれ、キワモノ扱いせずにきちんと描いており(ちょっとほめすぎ感もあるけど、それは中村くんの実力だ)、このクリーンさは日本人として嬉しいな、と思ったのでこの☆の数です。
-----[2009.4.5 未読リストアップ時のコメント]-----
集英社の新刊案内を見ていて、「おっ、中村俊輔!」とは気づいていたんですが…表紙の画像データを見てびっくり!いい写真じゃないですか!日本が今のところ唯一自慢できる「海外組」フットボーラー、中村俊輔くんのルポです。著者のグレイグ氏がどういうかたかはっきりとは存じ上げないのですが、海外のスポーツライターから見た「シュンスケ・ナッカムーラー」がどういった感じなのか、興味があります。それと、ノンフィクション禁断症状が重症で(笑)。
- 感想投稿日 : 2009年3月30日
- 読了日 : 2009年5月27日
- 本棚登録日 : 2009年3月30日
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