倫理という力 (講談社現代新書)

著者 :
  • 講談社 (2001年3月19日発売)
3.09
  • (5)
  • (6)
  • (29)
  • (2)
  • (5)
本棚登録 : 226
感想 : 17
3

第3章の「躾と感化」の項目は興味深い。躾は社会の圧力によって為されるが、感化は受ける側が自由に受けるものだ。そして、この後の論理展開が面白い。この躾と感化の関係を反対からみるという視点だ。躾は強制であるため受ける側は反抗できるが、感化は任意になされるため、否応なく起こる。つまり、この意図せずして引き起こされる感化なしに、教育は実を結ばないというのだ。「学ぶ」の語源は「まねる」だといわれているように、模倣への欲求が搔き立てられる感情こそが、人が成長していく原点というか、第1歩なのではないか。哲学的な文章ではあるが、ふと立ち止まって考えるきっかけにはなると思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自己啓発
感想投稿日 : 2022年3月17日
読了日 : 2022年3月17日
本棚登録日 : 2020年3月18日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする