亡くなった人の想いは、遺された人が想像するしかない。だけどたしかにそこにあって、いま生きる人を動かす力になる。篠の歌のように、姿は見えなくなってもずっと寄り添って見守ってくれているってこと、本当にあると思うなぁ。大切な人の魂を感じられるのは、苦しくもあり幸せなことでもある。
采女の寂しい心は新兵衛との対話で少しは救われたのだろうか。采女にこそ生きてほしかった。
散る椿は、残る椿に少しでも長く綺麗に咲き誇ってほしいと落ちていくんだね。せつない。。
ちゃんばらあり、政治的などんでん返しあり、甘酸っぱい恋ありでエンターテイメント性が高いけど、しっかり心に響く物語。
たとえば「篠が大切にしていたものは、それがしにとっても大事でござる」という新兵衛のやさしさ。
「しかし、それでもわたしは、たいせつなひとを守り通したいのです」という藤吾の強さ。
自分の信じるものにまっすぐ、誠実に生きること。葉室燐さんの小説を読むと、身が引き締まる思いがする。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2020年12月21日
- 読了日 : 2020年12月21日
- 本棚登録日 : 2018年4月9日
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