シマイチ古道具商: 春夏冬(あきない)人情ものがたり (新潮文庫nex)

著者 :
  • 新潮社 (2017年3月29日発売)
3.25
  • (3)
  • (15)
  • (27)
  • (6)
  • (1)
本棚登録 : 159
感想 : 17
4

なんとなく良さそうだと思い、書店で手に取った作品。作者のことは全く知らなかった。大当たりだったと思う。夫が仕事をやめたことをきっかけにして、義父の古道具屋で暮らすようになった透子が主人公の物語。古道具が持っている落ち着いた雰囲気が書き込まれていて、読んでいて心が和んでくる。古道具をめぐる薀蓄も面白い。割れてしまった器を継ぎ合せて新しい器を作る呼び継ぎの技法のことなどは、全く知らなかったので、新鮮な気がした。このような古道具が人間と密接に結びついて、人間の心まで変えていくところが面白い。主人公の透子も古道具の仕事をするようになって、少しずつ成長していく。ぎくしゃくしていた夫との仲が、古道具屋での生活を通して、修復されていくところが感動的。この物語の一番の読みどころだと思う。本当に素晴らしい作品だ。限りなく五つ星に近い四つ星。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2017年4月20日
読了日 : 2017年4月20日
本棚登録日 : 2017年4月20日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする