もし神が存在するなら、なぜこの世にかくも多くの苦しみが存在するのか。 ホロコーストのような同じ人類による暴虐、無差別に襲いかかる天災のように、無垢の人々にも災厄は襲いかかる。 なぜ人々はかくも苦しまねばならないのか。神は一体何をしているのか。 敬虔なキリスト教徒として出発し、聖書研究の道を選んだ著者は、この問い(「神義論」と呼ばれる)に真正面から取り組む。
この著作は、苦しみの存在に聖書はどのような答を与えているのか、ということを扱う。旧約、新約聖書には様々な説明がある。罪に対する罰。ヨブ記のような、信仰心の試み。神に反抗する勢力の存在。神を信じるが故に苦しみが与えられる。黙示録的思想。しかしどの説明も、この世界が神の良き意思に基づいて作られていることを著者に納得させるだけの説得力は持たない。揺らぐ信仰に悩み抜き、不可知論者となるに至るまでの思索を辿る。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
宗教・宗教史
- 感想投稿日 : 2010年12月11日
- 読了日 : 2010年11月3日
- 本棚登録日 : 2010年10月27日
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