レオナルド・ダ・ヴィンチ 上

  • 文藝春秋 (2019年3月29日発売)
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レオナルドに興味を抱いたのはフランスのトゥールを訪れた際に、近くのアンボワーズ城に彼の墓があると偶然知って、好奇心に導かれて見に行ったことが始まり。それに加えて2019年は没後500年であり、ルーブル美術館で大規模な展示会や故郷のヴィンチ村も盛り上がっていた。

それ以来、レオナルドに関する情報を様々な媒体から収集したが現段階でこれほどまでに詳しく解説されている本には出会っていない。

レオナルドの生涯を事細かく紐解いていきながら、彼の美学や哲学に焦点を当て、我々はそこから学ぶべきことを見出せるような構成になっている。

本書でも指摘されているが、彼から学ぶべきポイントは5つあると思う。

①鋭い観察眼
これはレオナルドを天才と称してしまう要素の一つ。だが事実は彼の絶え間ない努力に裏付けられた能力であり、我々も見習うことができるのだという勇気を与えてくれる。
円の面積を求めようとした際に、算術が苦手な彼は数学者のような明快な解法がなく、円の中から計算可能な図形を取り出して合算する原始的な方法で解こうとしたレオナルドは、まさに天才ではなく、好奇心に突き動かされた絶え間ない努力が形作った秀才と言えるだろう。

②実験による検証
仮説を立てて実験を通して検証する。この仮説には知識を必要とすると僕は思っているので、やはり勉強あるのみ。
ただ現代を生きる僕は、便利なツールGoogle先生に頼ってしまうのが常なので、これを機に自ら仮説検証する癖をつけようと思う。

③常に常識を疑う姿勢
これこそ僕が見習うべき姿勢だと思う。他の書籍でこれを知ってからは常々僕もこれを意識しながら生きているつもり。

④分野を超えて共通のパターンを見出す能力
アナロジーを探すことはイデアを探すことと同義のような気がする。

⑤旺盛な好奇心
これら4つの土台となるのがまさにこれだろう。レオナルドの好奇心の前では自分の好奇心なんて塵のようで、もっと積極的な好奇心を持たなければ奮い立たされる。

面白いと思った箇所
・画家を目指す若者には「家族や友人から離れ、田舎へ、山や谷へ出かけよう。1人になれば真の自分でいられる」。ある意味でショーペンハウアーの『幸福について』と通ずる部分がある。長期間一人旅をした僕はめちゃくちゃ共感。

下巻も楽しみだ。

【メモ】
アルベルティの『絵画論』を読む
アナモルフォーシス
キアロスクーロ

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年2月28日
読了日 : 2020年4月7日
本棚登録日 : 2019年12月17日

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