はたらく細胞(1) (シリウスKC)

著者 :
  • 講談社 (2015年7月9日発売)
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本棚登録 : 3366
感想 : 202
4

人気コミックの1巻。
本編は一応、5巻で完結しているようだが、スピンオフもいくつかあり、アニメシリーズもある。小説や劇場版映画もあり、理科教本まであるという。一大人気コンテンツである。
作者はこれがデビュー作であるらしい。特に医療系に縁があったわけではなく、下調べしながらストーリーを作り上げていくという。

身体を守るために働いている細胞たち、特に血管系・免疫系の細胞たちを主軸に据える。
主人公は赤血球AE3803番。ショートカット、ショートパンツでちょっとドジっ子。新米の運搬屋でよく迷子になっている。
その赤血球となぜか縁がある白血球1146番(「いいしろ」の語呂合わせらしい)。赤血球が困った場面によく居合わせ、そのピンチを救ってくれる。片目を隠し、色白で若干影があるが、細菌や病原体が現れると、世界(人体)を救うため、身を賭して働く。
その他、小さな女の子の血小板たち、オラオラ系の殺し屋キラーT細胞、純白のエプロンドレス姿ながら殺傷力の高いマクロファージ、古の記憶を宿す記憶細胞ととにかくキャラが立っている。
敵役の病原体たちはモンスターや怪物系で非常にわかりやすいw どこかエイリアンっぽい肺炎球菌や連鎖球菌、「スギー」とうごめくスギ花粉(!)、インフルエンザに取り憑かれてゾンビ化した細胞などなど。

1巻では「肺炎球菌」、「スギ花粉アレルギー」、「インフルエンザ」、「すり傷」の4話を収める。
ストーリーとしては、悪者がやってくるがはたらく細胞たちがやっつけるという単純明快な筋ながら、くすぐりが効いてむちゃくちゃおかしい。
まだ抗原に出会ったことのないナイーブT細胞が活性化されてエフェクターT細胞になるくだりなど、抱腹絶倒ものである。

細菌の擬人化では「もやしもん」の先例があるが、実は体内の細胞の擬人化はありそうでなかったジャンルなのではないか。筒井康隆の「最後の伝令」は若干、近かったかな・・・? 
スプラッタ満載でありながらコメディで仕上げており、細かいところまで描き込みがあり、小ネタを拾う楽しみもある。

自分の身体の中の話かも、と読者が想像できるように、細胞たちが働く身体の「持ち主」が特定されるような描写はない。
あなたの身体の中でも、こんな細胞たちが日夜頑張っているのかもしれない!?

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 漫画
感想投稿日 : 2020年10月15日
読了日 : 2020年10月15日
本棚登録日 : 2020年10月15日

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