運は遺伝する: 行動遺伝学が教える「成功法則」 (NHK出版新書 710)

著者 :
  • NHK出版 (2023年11月10日発売)
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感想 : 26

著者の本を何冊か読んでいれば、その遺伝に関する考えは理解できるだろう。気になった個所は以下の通り。
・リベラルと保守の違い。保守派の特徴は言語能力が低い(知能が低いとは言えない)こと。言語的知能が低いと未知の世界が怖いところだと感じるようになる。そうなると友人や知り合いだけの狭い世界で生きていくのが快適。皆が自分のことを知っていれば、いちいち説明する必要がないから。これが保守のパーソナリティ。一方、言語的知能が高いと問い詰められても説明できるため、未知の世界を恐れない。違う国の文化や宗教に興味を持ち、海外で働くことも面白いと感じ、恋人も文化圏の異なる相手の方が刺激的だと感じる。これはリベラルの典型的なパーソナリティ。
成功に外交的な性格は関係ない。実際ギャンブル依存症やドラッグ依存症には外交的な人が多い。脳科学のレベルでは外交的とは快感の閾値が高く、多少の刺激では覚醒度が上がらず、強い刺激を好むことと説明される。
・思春期後半で安定してきたパーソナリティを手掛かりに、自分の特性を生かせる環境を捜すべき。環境に無理やり合わせるのではなく、特性に合った環境を捜して、それに応じた知識を学習する。又は自分に合う環境を自分から創り出す。そうすることで人生における成功確率はグッと高くなる。「自分が何に向いているかを見つける」自分の能力を知る最初の手掛かりは、何に興味を関心を持つか。やりたいことが何もないという人が増えているが、ほんのわずかな「(遺伝的な素質の)起伏」でもいいから、山を登ってみる。「好き」という感覚の生まれる環境へと移動する。←子供にこれを解ってもらいたいのだが…。
・華僑は東南アジア全般で強い支配力を持っているが、日本や朝鮮半島ではそんな事は無い。これは朝鮮半島やにほんのヒト集団が、中国人と同程度の知恵を持っていたから。ヒト集団の認知能力の違いを無視して、華僑の分布に地域差があることを説明できない。世界の最貧国で、徹底した独裁制の北朝鮮が優秀ななロケットを次々と打ち上げている理由もこのため。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2024年3月8日
読了日 : 2024年3月3日
本棚登録日 : 2023年11月15日

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