もしも月がなかったら―ありえたかもしれない地球への10の旅

  • 東京書籍 (1999年7月1日発売)
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感想 : 32
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 表題の「もしも月がなかったら」、地球はどのような姿になっているか、を科学的に描写していて面白い(他9テーマ)。月がなかったら今と比べて潮汐がほとんどなく、そうすると地球の自転が遅くならないので地球の一日は約8時間になる。また土砂の移動も少ないので生命に影響を与える…など、どんどん予想外の問題が出てくるのである。「へぇ、こんな原因でそんなことが起きるのか」という多くの驚きとともに、やはり地球は奇跡の惑星なのだな、と感じた。現在のあらゆる条件が多様な生物界に「良く」影響していると思った。

 天文学以外にも、化学や生物学など様々な自然科学分野(また時に考古学や歴史学などの人文・社会科学分野も)が広く考慮に入れられており、素晴らしい。

 ただ、「このような時はこうなるのでは?」と簡単に想像できる点もいくつかあった。そのような素人がすぐに思いつくような仮説に触れていない時が何度かあり、少し残念なところである(その仮説が正しければ「こうなる」と書いてあってほしかったし、違うのであれば何故そうはならないのかを述べてほしかった)。また、訳が若干ではあるが直訳っぽく、読みづらかった。

 NHKのドキュメンタリーか何かで映像としてみるともっと面白いのではないかと思う。是非CGで見てみたい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年11月17日
読了日 : 2023年11月17日
本棚登録日 : 2023年11月17日

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