歴史学者として評価の高い入江昭の新書。
ただし「歴史学者ってこういういい加減な内容の本を書く人なんだっけ?」と感じざるを得ない。
まず前書きで「どこまでが近代で、いつから現代になったのか」という問題に取り組むように見せて、その結論なく終わってしまうのがかなり違和感を感じた。ただ違和感はそれだけに止まらない。
「ソ連の崩壊を予測したものは誰もいなかった」という事実と異なる点、「言語、種族、血縁関係」などによるつながりを、「倒錯したつながり」とする点もかなり疑問。「父母を想う人は倒錯している」との指摘は、単に共産主義的なイデオロギーを「グローバル化」に置き換えて繰り返しているに他ならないのではないか? 血縁関係の重視を「倒錯している」とするのであれば、その根拠をしめしておくべき。
そもそも日韓の「歴史認識の問題」は、「歴史の事実の曲解」であって「認識の問題」とは異なるのだと思うけど。
例えば「大国と小国」という捉え方を「二項対立だ」と批判しておきながら、「現実主義とグローバリズム」の二項対立で話を進めるなど、もう途中で読むのやめたくなった。
あと「混血を進めていくべき」といった感じで、グローバリズムに軸足をおいて「べき論」で語られると読んでるこっちはかなりキツイ。極端な話「民族浄化を肯定しているのか」とも読めてしまう。つまりは「グローバル化が正しいのであれば、それは暴力を持って進めて良いのか」という問題があるのは当然なのだと思うが、それについては何も語らず。おそらくは著者がバカなので気がつかないだけだと思うと悲しくなる。
https://twitter.com/prigt23/status/1033247574113701889
- 感想投稿日 : 2018年8月25日
- 読了日 : 2018年8月25日
- 本棚登録日 : 2018年8月25日
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