動的な展開が少ない静のサスペンス。女性の恐ろしさを描くことに力点が置かれている。これは「霧の旗」と同じだが、復讐心という憎悪ではなく、男を愛する熱情に女性が突き動かされる点や、事件の社会性や特異性を素材としていない点が異なる。こうした女性が描かれる作品として「事件」を思いだしたが、動的な展開で飽きさせないつくりの本作とも異なる。
このように比較していくと、あらゆる要素を削ぎ落として、男を愛する熱情が女性を大胆に変えてしまう、という一点を際立たせた本作をサスペンスとして扱うのは不適当かもしれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
サスペンス
- 感想投稿日 : 2015年5月23日
- 読了日 : 2015年5月9日
- 本棚登録日 : 2015年5月9日
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