本書は、雑誌SFマガジン収録の作品から文庫への収録の機会に恵まれなかった作品を中心に構成されたアンソロジーです。
2011年に同じタイトルで新版が出版されていますが、こちらは1980年に出版された旧版の方。新版は2年くらい前に読んでいましたが、新版と旧版では収録されている作品が異なるとのことでしたので、気になって購入。全6編。
超能力を取り扱った作品が多数見られることから、多少の古臭さを感じましたが、個々の作品のクオリティに影を落とすにはいたりません。
表題作とアシモフの「信念」は、新版にも収録されていたので再読。表題作の完成度の高さには改めてうなることに。そして、読後の喪失感は計り知れません。
この喪失感ですが、表題作に限らず他の作品にも見受けられました。
「接触感染」は異星の奇怪な生物学的現象により、外見が統一されてしまう物語。外見的な肉体が個々のアイデンティティとどのように関わりあうかを考察した作品でもあり、なかなか刺激的。
「大いなる祖先」の舞台は人類が銀河系に広く進出した遠い未来。神秘のヴェールで包まれた人類の祖先を究明すべく、とある惑星を訪れた研究隊がみつけた真実とは… この真実がとにかく皮肉が利いていて、喪失感も十分。
作品を総じて、ドライな結末が多く、それがかっこいい短編集でした。
▼収録作
・「接触汚染」キャサリン・マクレイン
・「大いなる祖先」F・L・ウォーレス
・「過去へ来た男」ポール・アンダースン
・「祈り」アルフレッド・ベスター
・「操作規則」ロバート・シェクリイ
・「冷たい方程式」トム・ゴドウィン
・「信念」アイザック・アシモフ
- #キャサリン・マクレイン
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- #アイザック・アシモフ
- #斎藤伯好
- #稲葉明雄
- #伊藤典夫
- 感想投稿日 : 2014年11月30日
- 読了日 : 2014年11月29日
- 本棚登録日 : 2014年11月29日
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