映画「NEXT」の原作をはじめ、「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」「最後から二番目の真実」といった長編作の着想元となった作品を含む全7編を収録。
著者の作品を語るにあたって、マーク・ハースト氏が冒頭で次のように述べてます。
「彼の小説の登場人物は、午前四時ごろに近くの<セブン・イレブン>で出会うような人たちだ。しかし、彼らのみにしばしば起こる出来事は、ゴキブリの身にさえ起こってほしくないような種類のものだ。」
この表現が言い得て妙だなぁと感心。
彼の作品で起こる出来事は、確かに途方もないことばかりなんですが、なぜか現実との近さを感じるのです。どこかで形は違えど、同じような類いの出来事が発生しそうな。
だから、読中はいつも不安な気持ちになるんですよね…まるで、踏みしめる地面がいきなり大穴をあけたような…
そんな平衡感覚が失われる作品は本書でも健在。
楽しめたのは、「妖精の王」「ヤンシーにならえ」「小さな黒い箱」「融通のきかない機械」あたり。
特に、「ヤンシーにならえ」と「小さな黒い箱」は、長編小説の礎になった(前者が「最後から二番目の真実」で、後者が「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」)だけあって、着想がユニークでした。次は未読の「最後から二番目の真実」を読んでみようかな。
ちなみに、著者自身が「まえがき」と「作品メモ」で、彼の考え方や作品への思いを語ってくれるので、かなりおすすめです。むしろ、これだけでも読む価値があるといっていいほどかと。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
SF
- 感想投稿日 : 2013年9月13日
- 読了日 : 2013年9月13日
- 本棚登録日 : 2013年9月13日
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