・ミドルマネジャーの「ミドルアップダウン・マネジメント」…いちばん難しい問題は、現場で実践知を発揮しながら、新しい価値や価値をもった概念を生み出し、そこからひとつのビジネスモデルを作り出して収益を結びつけること。その中で重要な役割を演じるのがミドルマネジャーやミドルリーダー。実践知にすぐれた人材の共通する「6つの能力」。
1)「何がよいことなのか」という判断基準を持ち「よい目的」をつくる能力を持つ
2)ありのままの現実のなかで本質を直観する能力を持つ
3)場をタイムリーにつくる能力を持つ
4)直観した本質を概念化し、物語として伝える能力を持つ
5)あらゆる手段を駆使し概念を実現する政治力を持つ
6)実践知を埋め込み組織化する能力を持つ
・人間が行う最も知的な営みである知識創造は、暗黙知と形式知が互いに作用しあい、相互変換し、それがスパイラルに循環していくなかで行われる。この知の循環運動が組織やチームで起きる場合、知識創造理論では次の4つのモードをたどる。
1)個人はまわりの世界との相互作用のなかで暗黙知を組織的に共創する(=共同化)。
2)次に暗黙知を形式知に変換する「表出化」。
3)続いて、形式知化を組織内外の他の形式知と組み合わせ、一つの体系としての新たな形式知を作り出す「連結化」。
4)こうして体系化された形式知は行動や実践を通して、新たな暗黙知としてメンバー全員に吸収され、体化されていく。つまり、形式知からまた暗黙知へと変換される(=内面化)。
この知識変換の4つのモードを共同化(Socialization)、表出化(Externalization)、連結化(Combination)、内面化(Internalization)のそれぞれの頭文字をとってSECI(セキ)モデルと呼ぶ。この一連のプロセスが回ることで、知識は個人、集団、組織の間を循環し、より豊かに増幅されていく。と同時に知識が新しい価値として具現化されていく。これが組織的な知識創造の基本原理。
・「試す人になろう」(本田宗一郎氏の石碑)…人生は見たり、聞いたり、試したりの3つの知恵でまとまっているが、多くの人は見たり聞いたりばかりでいちばん重要な”試したり”をほとんどしない。ありふれたことだが失敗と成功は裏腹になっている。みんな失敗を恐れるから成功のチャンスも少ない。ものごとの大筋をつかんだら、まずは試してみる。失敗したら、成功するまで試せばいい。日本企業の再創造に向けた集合的実践知経営は、一人ひとりがこの言葉「試す人になろう」を胸に刻むことから始まるのだろう。
- 感想投稿日 : 2016年9月17日
- 読了日 : 2016年9月17日
- 本棚登録日 : 2016年9月17日
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