Millions of Cats (Gift Edition) (Picture Puffin Books)
- Puffin Books (2006年10月5日発売)
物語に登場するおじいさん・おばあさんは「孤独」であることが多い。それで赤ん坊が待望されたりするんだけど、
今回はおばあさんが、「ネコさえいたらなあ」と言いだす。
そこでおじいさんは、はるばるいくつも丘をこえてネコを探しにいく。するとついに(なにがついにかわからないけど)、ネコでおおわれた丘にたどりつく。
(このくだりまできてすっかり本書が好きになった。こういうバカバカしさ最高。その後も期待を裏切らない)
おじいさんはそこからいちばんきれいなネコを持って帰ろうとするんだけど、どれもこれも捨てがたく、けっきょくぜんぶ連れ帰ってしまう。その数なんと、何百万、いや何十億、いや何兆。
道中、水を飲ませれば湖が干上がってしまう。
草を食ませれば丘が禿げ上がってしまう。
困ったおばあさんはみんなにエサをあげられないと嘆く。
そこでおじいさんは、ネコに決めさせようと無責任なことを言いだす。
すると、ネコたちは、ぼくが、わたしが、いちばんきれいだと主張する。しまいにはケンカに発展してしまう。ほとんどネコ戦争。
おじいさんとおばあさんは急いで家の中へにげこむ。
しばらくして、窓から外をのぞいてみると、たった1匹のネコしか残っていない。
しかも、やせっぽちで、毛並みの悪い仔ネコだ。なにが起きたのかおじいさんが尋ねると、ネコはこう答える。
「ぼく(わたし)はかっこうの悪いちっぽけなネコにすぎない。だから誰がいちばんきれいかと訊かれても黙ってた。だからだれもぼく(わたし)のことを気にかけなかったんだよ」
けっきょくそのネコがおじいさんとおじいさんに可愛がられ、世界でいちばん美しいネコになりました、という話。
流行に群がって競合したってなんの意味もないよ、ニッチ最高!あるいは、マイペースに我が道をいくのがいちばん!
というような、本書の発しているメッセージも好み。
なんかおじいさんがめちゃくちゃなことやったけど結果オーライというテキトーさがなにより最高。
- 感想投稿日 : 2022年2月12日
- 読了日 : 2022年2月12日
- 本棚登録日 : 2022年2月12日
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