けっきょくのところ証明しえない別宇宙の存在。それを科学的、理論的に行けるところまで追究しようという本書の態度は、幽霊の探求とさえ見えてきた。
とはいえ、すごく魅力的だったのは、レベル1マルチバースの中に無数のユニバースが内包されているのなら、マルチバースは体積が無限であるがゆえに、あるレベル1ユニバースにおいて自分とまったく同一の意識が実現しうるという可能性。
これは言ってみれば、自分は無神論者であり、同時に生にそれほど執着があるほどではないけれども、復活の可能性であり、輪廻転生の可能性だ。
再生しうる意識が別宇宙にも並行してあるとすれば、こんなにわくわくすることはない。死んだ後になお、何かが展開するのなら、これは大変なことだ。逆に、科学がそれを検証できない、「死んでみなければわからない」というところが、何とも小気味よい。
あるいは、レベル1マルチバースさえ包含するレベル2マルチバースさえあるとすれば、それはもう、恍惚とさせられる。too muchなひしめく存在の中にあって消滅する肉体の意味とは。考えだすと、愉快になってくる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
科学
- 感想投稿日 : 2019年3月26日
- 読了日 : 2019年3月26日
- 本棚登録日 : 2019年3月13日
みんなの感想をみる