地図の細かさが常軌を逸している。
著者は5000時間かけて本書を完成したという!
本書はローマの属州である街のひとつヘラクレイア出身のフラウィウスという青年の目線で、古代ローマ観光が楽しめる。
「7つの丘」といえばローマを指すとおり、「アウェンティヌス丘」「カピトリヌス丘」「パラティヌス丘」「クイリナリス丘」「ウィミナリス丘」「エスクイリヌス丘」「カエリウス丘」すべての俯瞰図が詳細な手描きの地図で描かれている。写真も満載。
それにしても、誰かの目線になって古代ローマを楽しむ、という設定の本のなんと多いこと!
17世紀くらいに始まった貴族子弟たちの「グランドツアー」の伝統が透かし見える。
もちろん人気の目的地はイタリア(またはフランス)。それが19世紀のブルジョワ階級の子弟の教育の一環として引き継がれ、やがて、「トーマス・クック」の団体旅行へつながっていく。
本書を読みながら、古代ローマ(そして古代ギリシアも)の文化がいかにヨーロッパで教養の土台として重要視されているかがだんだん実感としてわかってきた。
そりゃあ、ある種の言い回しをラテン語で言う/書く人が出てきても仕方がない。
それに、キリスト教が国教化されるに及んで広範囲に広まっていったのもこの頃だし。ローマ帝国の歴史抜きにはヨーロッパは語れないだろう。
おまけに、古代ギリシア・ローマ・リヴァイバルであるルネサンス文化の遺産もあり、イタリアの各地にはふかふかの腐葉土が降り積もっている。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
エトセトラ
- 感想投稿日 : 2023年2月21日
- 読了日 : 2023年2月21日
- 本棚登録日 : 2023年2月21日
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