続編もいいってなかなかないけど、これも好きだな。
前作は、ウィーンでたまたま出会った若い頃のジェシー(イーサン・ホーク)とセリーヌ(ジュリー・デルピー)が、日が昇り、ジェシーが空港に向かうまでの時間、街を散策する。そして楽しく会話する。そして別れがたくなり、半年後の再会を約束する。
本作ではそれから9年が経っている。そして本作の製作まで実際に9年が経っている。
(そして自分はすっかり2人のファンになっている。)
ジェシーは上の出来事を小説として出版し、パリのシェイクスピア&カンパニー書店(!)でトークしに来ているところ。そこへふらりと姿を現したセリーヌ。
ジェシーはまたもや、イベント後じきに空港に向かわなければならない。それまでの短い時間を、2人はこんどはパリを遊歩しながら過ごす。そして9年の隔たりが嘘みたいに、あの楽しげな会話が戻ってくる。
ただし、こんどは現実の話をするために。
2人は再会できなかったことをそれぞれに悔いている。いまやジェシーは結婚していて4歳になる息子が1人いる。セリーヌは環境問題に関係する仕事をしていて、報道写真家の恋人がいる。
2人は時を惜しむように喋りまくるが、「あの日」を理想化しすぎているあまり、それを茶化し、隠すためでもあるというのが、だんだんと見え隠れしはじめるーー
そのやりとりとか相槌がものすごく自然でリアルで、うっかりすると作品内に飲み込まれそうになる。
あまりに楽しそうだから、会話に加わりたくさえなり、あげくのはてには、あなたたちは今すぐに恋人どうしになるべきだよと、おせっかいな忠告さえしたくなる(笑)
今回は脚本に、主演のイーサン・ホークとジュリー・デルピーも関わっていて、セリフが2人によって入念に準備されたものだと知って、信じられない思いでいる。
なにせ、10分近くワンカットで喋りつづけたりするし。
是枝裕和的に、半ドキュメンタリーっぽく作られたものとばかり思っていた。職人の仕事を目撃した。
なんだか、次の続編を観るのがもったいなく思えてきた。
- 感想投稿日 : 2022年1月13日
- 読了日 : 2022年1月13日
- 本棚登録日 : 2022年1月13日
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