集団疎開である村落にきた感化院の少年達の話。
戦後の貧しい暮らし、自然を擬態化した文章が生々しく、リアルに景色を捉えた作品となっている。
感化院の少年達が疫病の流行る村の中に閉じ込められた時の怒り、自活していく壮絶な生死の境目を語った、力強い筆力が魅力的だ。美的感覚的に言えば美しいとは言えない内容だと思うが、生きる為に奔走する主人公の前向きな主張が現れている作品となっている。
ある意味世の中の風情を描いているような感じもした。昨今の小説では主人公ありきで進んで歩く物語が多い。しかしこの物語では世の中とは残酷な人間達が多く存在し、理不尽な犠牲が多く存在する事を生々しく書いたことに意味がある。残酷な事に流されてしまうのか、理不尽なことに屈する事なく正義を内に秘め、貫き通した主人公は物語の中では誰にも助けられやしない。
しかし、そこに未来への糸口が隠されていると教えられたようであった。
文章が下の内容が多く、読み進めるのが少し困難だった為に評価は3
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
未設定
- 感想投稿日 : 2020年11月3日
- 読了日 : 2020年11月3日
- 本棚登録日 : 2020年7月26日
みんなの感想をみる