50年代のアメリカの小説。私小説かなと思ったけど、けっこう練った小説のよう。
池澤夏樹氏「男2人(中略)気ままな行き当たりばったりの旅にぼくたちは同行する」(帯)
「(この小説は)路上をどこかへの途上と信じひたすら移動を続ける若い連中の話」(解説)
と景気のいい(?)評を寄せているけど、僕の読み方はちょっと違った。
2人とは、著者自身がモデルとなってるサル、コロンビア大出の若手作家と、父親は浮浪者となって行方不明、4度服役もしてる何をしでかすかわからないディーンのこと。
2人が同じものを見ていたようには思われない。
ディーン「マイルを計算して、今夜どこに泊まるか計算して、ガソリン代や天気や(中略)せっせと考える。そんなことしなくたって、どっちみち着くっていうのによ...(292頁)」
一方サル「こういうスナップ写真を僕らの子供たちはいつの日か不思議そうにながめて、親たちは何事もなくきちんと、写真に収まるような人生を過ごし、朝起きると胸を張って人生の歩道を歩いて行ったのだと考えるのだろう(中略)実際の人生が、実際の夜が、その地獄が意味のない悪魔のロードがボロボロの狂気と騒乱でいっぱいだったとは夢にもにも考えないのだろう(355頁)」
2人がロードに見ていたものは違う。
で最後、ガールフレンドとリムジンで、メトロポリタンオペラへデュークエリントのコンサートへ向かうサルは、せめて途中まで乗せて行ってくれというディーンの頼みを冷たく断る。。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2013年9月10日
- 読了日 : 2013年9月10日
- 本棚登録日 : 2013年9月10日
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