quatorzeさんの感想・レビュー

算額タイムトンネル (講談社タイガ)

著者 : 向井湘吾

• 講談社 (2017年12月22日発売)

人生の算法もあればいいのに。

絵馬に書かれた問題を解くと新しい問題が浮かび上がってくる。真鍋波瑠は謎の出題者・橘実信と問題を出し合うが、それは時を超えたやりとりだった。

算額を通じたやりとりがメインではなく、波瑠と実信がどのように自分の人生に降りかかる難題をクリアしていくかが主筋なので、波瑠の友人・千明のように数学アレルギーがあっても問題なく物語を楽しめるだろう。

数学を武器にする波瑠には、両親の不和という大きな問題があり、千明も引きこもりの兄とその原因となった父という問題を抱えている。江戸時代末期の実信にも、家業や兄の死によるトラウマ、親友と道場主の娘との関係などこれまた難題ばかり。そこに算額を通じたやりとりによって、波瑠が実信にこれから起こることを伝えて彼や彼の友人の命を救おうとした過去の改変が降りかかる。

火事で死んだはずの波瑠が目覚めたら世界は一変していた。ここで終わるなんて！ 2巻を読みたいと思います。

感想投稿日 : 2021年6月6日

読了日 : 2021年6月1日

本棚登録日 : 2021年6月1日