夏の夜の夢・あらし (新潮文庫)

  • 新潮社 (1971年8月3日発売)
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本棚登録 : 1895
感想 : 115
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シェイクスピアの豊かなイマジネーションの結果、喜劇。

「夏の夜の夢 A Midsummer Night's Dream」は、1590年代に書かれたと言われる。妖精パックのいたずらで複数の恋人たちがドタバタする喜劇。最後は収まるところに収まって大団円。職人たちの素人演劇は、きっと文字ではなく実際に舞台を観た方が笑えたかも。宝塚のPUCKと比較すると、なるほどここをこういう形に変えたのか、と興味深い。シェイクスピアも元ネタを上手に変える人でしたね。

「あらし The Tempest」は、シェイクスピア最期の作品と言われる。大学の授業で読んだ記憶はあるけれど、あらためて読むと、プロスペローがすべてを支配している話なのだと。復讐譚だけど怖くはない。妖精エーリアルはまるでジーニーみたい。そう思うと、もしかしてディズニーで出来る……とか考えてしまう。プロスペローは、最初こそ弟に領地を奪われて絶海の孤島に流れ着いているけど、この劇の間は無敵。そういう意味で、神とか運命に支配される人間という感じが薄い。むしろ神。ここがシェイクスピアのたどり着いたところかと思うと、なんとも言えないのだが、それはまだシェイクスピアの凄さがわかっていないからなのか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 93: 英米文学
感想投稿日 : 2017年10月14日
読了日 : 2017年10月14日
本棚登録日 : 2017年10月14日

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