北欧アイスランドのミステリ作家アーナルデュル・インドリダソンによるエーレンデュルシリーズの邦訳第二弾。
本作では恐るべき家庭内暴力とそれに翻弄される家族が生々しく描かれる。その一方で主人公エーレンデュルの過去も掘り下げられ、現在の境遇がどのようにして出来上がったのかが語られていく。
事件は現在起きたものではなく、戦前から戦中にかけての時代に起きていて、同僚たちは興味を示さないのにエーレンデュルは事件の真相解明にのめり込んでゆく。
遺骨を掘り出すにしてもすごく時間をかけて行われ、実際問題として、警察にそれほどの時間的余裕が与えられるのかという疑念も湧くが、物語の面白さでそんな些細なことは忘れてしまう。
凄惨な暴力シーンが繰り返し描かれているが、作者も述べているように、現実に目を向けるためにあえて描いているという。被害者がどんな心境に陥って行くのかまでも描かれていて目を背けたくなるが、世の中のどこかで実際にこのようなことが行われているかもしれないと思うとやりきれない。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2014年10月28日
- 読了日 : 2014年10月17日
- 本棚登録日 : 2014年10月28日
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