ロバート・マセロによる歴史・宗教ミステリ。
物語は主に3つの視点から描かれる。一つは蟹カゴ漁師・ハーレーがベーリング海で蟹カゴと共に引き揚げた棺とその埋葬されていた人が身につけていた十字架をめぐる物語。一つは元陸軍少佐で疫学者のスレーターがたどるスペイン風邪をめぐる物語。もう一つはおよそ100年前のロマノフ王朝の第4皇女・アナスタシアとラスプーチンにまつわる物語。
時代が異なる物語と同じ時代の別の視点からの物語が交錯するため、それぞれの物語の先が気になりながらヤキモキする感がある。物語がスピーディーに展開する場面もあればややまどろっこしく感じるところもあり、ヤキモキ感に拍車をかけるが、構成もよく練られていて飽きさせない。
特に、史実に基づいていると思われるアナスタシアとラスプーチンの物語はロマノフ王朝の凋落に関わるだけに、物悲しい印象を残す。
アラスカに主要人物が集まり、この先どんな物語が待ち受けているのか、先が気になる。下巻でどんな物語が展開するのか、楽しみである。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2015年12月26日
- 読了日 : 2015年10月31日
- 本棚登録日 : 2015年12月26日
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