サードプレイス―― コミュニティの核になる「とびきり居心地よい場所」

制作 : マイク・モラスキー 
  • みすず書房 (2013年10月26日発売)
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本棚登録 : 717
感想 : 35
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「サードプレイス」という言葉自体はよく聞きますが、自分の職場と家庭から離れて過ごすことができるという位置付けで捉えていました。

この本における、「サードプレイス」とは、単なる場所のことではなく、そこに集まった人たちが、互いに会話をしたり、意見を言い合ったりするコミュニケーションの場であって、すなわち全てのカフェや居酒屋がサードプレイスではないということでした。

こうした「サードプレイス」はこの本が書かれている当時でも減っていると嘆かれておりましたが、コロナ禍においては、もはや壊滅状態なのかもしれません。

もちろん、場としてのサードプレイスはZoomやTeamsなどのオンラインにあるのかもしれませんが、そこは一定の閉鎖性があり、必ずしもふらっと立ち寄ることができるものではないのが現実です。

ついでに何となくではなく、話すことそれ自体が目的となってしまうオンラインの場では、もはや「サードプレイス」的な、分野も異なる知らない人同士が偶然集まるということは、不可能ではないにしても以前よりも難しくなってきているのかもしれません。

よいコミュニティ、悪いコミュニティという基準はありませんが、今いる場から別の場へ移動する手段、それも自分の好きなことばかり集まったフィルターバブルではなく、本当の意味での多様性を受け入れる場所。そうした場所が減りつつある今が、果たして正しいのかどうか。そうしたことを考えるきっかけになるいい本だと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年10月23日
読了日 : 2022年10月23日
本棚登録日 : 2022年10月23日

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