穏やかでゆったりとしている作品なので、それが馴染まない人にとっては「この作品の見どころはどこだ?」となってしまいそうだけど。
15年少し前の作品が、こんなに鮮やかに見れるなんて。
何度も見て、ずっと好きでいて、でもしばらく今じゃないと思ってなぜか見れなくて、そしてまた今、観た。
好きな理由がいくつかあったけど、15年経ってまた、そこに深みが増した。
季節が春に変わる頃。
主人公は、目まぐるしい生活から離れるためか、心を病んだためか、そこはわからないがここにくる。
最初は、全てのことに、戸惑う。
旅先で、黄昏れる方法も、みんなでご飯を食べることも、体操することも、観光しないことも、いろいろなことに馴染めなかった。
しかし、そこにいて過ごし、人と少しずつかかわり、黄昏れるのが上手いこと、人とご飯を食べることが楽しいこと、体操をする心地よさ、何もしないことの良さを知る(というか、多分そんな要素は元々持っていて、それを思い出す?)。
人との関わりの中で、相手のことを深く知らずとも。
ただそこにいるだけの、心地よさ。
そこにいるそのもの、それだけで。
そうして、それぞれの今だという時に、そこを離れ、そしてまた日常へ戻ってゆく。
季節が変わる頃に。
そしてまた春が来る頃、出会う。
どんなに真面目に生きていても、休憩って必要。
そう、そういう映画だと思います。
一番好きなのは、サクラが小豆を煮るシーン。
「大切なのは、焦らないこと。焦らなければ、そのうちきっと。」
今の私にぴったりで、泣いた。
3泊4日のソロキャン、最終日朝、久しぶりの晴れ、ここにも春がやってきた、そんな日にご飯を食べた後に。
- 感想投稿日 : 2023年3月29日
- 読了日 : 2023年3月29日
- 本棚登録日 : 2023年3月23日
みんなの感想をみる