マーティン・イーデン (エクス・リブリス・クラシックス)

  • 白水社 (2018年9月19日発売)
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本棚登録 : 129
感想 : 6
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 ジャック・ロンドンは「野生の呼び声」と「ホワイトファング」しか読んだことことがないが、硬質でシンプルな文体と、武骨なストーリーが印象的で、好きな作家の一人だ。しかし、没後すでに100年以上経過しているので、本屋さんで新刊に巡り合えるとは思わなかった。正確に言うと新刊ではなく、帯にも書かれているよう”待望の復刊”だ。
 描かれている時代背景は、富裕層と労働者層との差が明確で格差は大きい。思いがけない出会いから富裕層と関わることになった主人公は、苛烈な努力で労働者層から作家として這い上がっていく。主人公が考える真理や、手にした成功を語る心のうちは、30年前の青年(僕のことだ!)が抱く青春のモヤモヤと低通するものがあり、物語にのめりこむ。
 激しいいほどに厳しく自律的で、原理から外れることを許せない青年は、年齢を重ねるうちに他者や自らを徐々に許せるようになっていく。許すことができない青年には、自死以外の結論がなくなる。
 全般にわたり緊張感のある小説世界で、主人公の成長譚でもある小説の魅力に引き込まれた。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年1月5日
読了日 : 2019年1月5日
本棚登録日 : 2018年11月25日

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