思い出したように、再読した。本著が語るのは、生命の起源からの意識の進化。小説仕立てで、ピアニストの女性と一人の学者のプラトニックな関係の中で、この神秘が語られる。爽やかな情景描写が心地良い読後感を残す。健全な世界は懐かしさすら齎す。この手の科学小説は、往々にしてストーリーが甘いか、学術の部分を噛み砕きすぎるきらいがあるが、本著はその辺のバランスも良い。歳を取ったのかも知れない。今回の読書で私に響いたのは、その科学の中身よりも、プラトニックな男女。自力で歩けぬ作者が、二人を通じて伝えたかった生命の通り道とは何だったか。
慈悲熟する時、慈悲を知らず。車椅子生活になり、人の優しさに触れる事が増えたという作者による、愛とは。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年8月11日
- 読了日 : 2019年8月11日
- 本棚登録日 : 2019年8月11日
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