落合陽一はよく動画で見るのだが、落合信彦の事はよく知らなかった。調べるとジャーナリストと書かれているが、本著でも各国の要人へのインタビュー風景が写真と共に紹介される。親子対談というより、落合信彦の著作に対し、息子が応援出演しているような仕立てだ。
こうした取材からの学びだろう。一次情報を当たれと父親は言う。例えば、プーチンの論文。プーチン的歴史観は、ウクライナと言う国はもともと存在せず、ウクライナ人もロシア人も同じ民族だが、ソ連は権力を維持するために国を分割してウクライナを作った。その状態を放置したままソ連が崩壊したのだから、この分断を産んだのはソ連であり、元に戻すのが正しい、という発想。その他にもケネディや習近平等が語られる。
息子は何かを悟ったかのような突飛に敢えて世間ズレした演出をするが、拗らせた自己愛の発露に見えていた。本著の構成のせいで、浅薄なタレントのような扱いをされてしまっている感は残念。
社会性昆虫みたいな数を頼りにした同調現象としての炎上のような暴力のデジタル化が加わった事を除けば、徐々に穏和なネットワーク社会が形成されている。予言された世界というが、イデオロギーの変遷で言えば特に新自由主義だなんだと言っても、根幹の支配体制が大きく変わらないのだから、所与の領域という気がする。
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- 感想投稿日 : 2023年7月20日
- 読了日 : 2023年7月20日
- 本棚登録日 : 2023年7月19日
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