凄惨な事件の免疫が問われる。かと思いきや、事件の酷さとは場違いな描写。全体的に悪人に寄り添った雰囲気が違和感を醸すものの、完璧さを求めぬ漫画のようなエンタメ小説としては、エログロな要素ありでそれなりの刺激物だ。
しかし、この小説を読んでいて、アベック殺人事件(検索注意)とか、コンクリ事件とかを思い出して、結局、被害者心理を確認すべく検索してしまったので、そっちで気持ち悪くなった。そう言えば、著者の誉田哲也は『ケモノの城』で北九州連続殺人事件も書いていたのだ。人間の狂気を描くのは、お家芸か。しかし、本作は前述の通り、犯罪者側を正当化するようなあり得ないバランスを取ったために、小説の構成としては頂けない。ただ、私は別に小説に道徳も論理性も求めないので、狂気や人間の矛盾における小説として評価したい。面白かった。
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- 感想投稿日 : 2023年10月27日
- 読了日 : 2023年10月27日
- 本棚登録日 : 2023年10月26日
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