リアルケースで身につける 不正を見抜く監査力

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  • 日経BP 日本経済新聞出版 (2023年6月15日発売)
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著者自らが公認会計士として署名していた上場会社が粉飾決算を行い、騙された事に気付きショックを受けた体験がきっかけになり、本著を執筆するに至ったのだという。事例紹介から、不正を考えさせる構成で有益な一方、もう少し要点をコンパクトに纏められるような気もする。本が重い。
しかし、それだけ身につくものもある。以下はメモ書き。

流動資産が増えていれば、次々と資金を投じなければならない新規投資案件が含まれていないか、あるいはそうした投資案件の資金が滞留していないか、凍結されていないかなどを想定する必要がある。

売掛金は月齢6ヶ月を超えたら貸倒懸念債権に区分し、さらに1年全く入金されなかったら破綻懸念債権等に区分する。

上場会社において監査人は会計監査に合わせて内部統制監査も実施する必要がある。財務諸表に重大な虚偽表示を生じさせる可能性のある問題点があれば、開示すべき重要な不備として監査報告書に記載しなければならない。開示すべき重要な不備とは、①前期以前の財務諸表につき重要な修正をして公表した場合②企業の内部統制により識別できなかった虚偽表示を監査人が発見した場合③上級経営者層による不正が特定された場合。

売掛金に対する残高確認手続きは実在性、正確性と言う監査要点(アサーション)を立証する監査証拠を入手するためのもの。

残高確認書の発送を見合わせたり、確認先に監査人が対応せず会社に任せたりしたケースにおいて、虚偽を許したと言うことで監査人2名が金融庁から6カ月間の業務停止処分を受けた事例がある。

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感想投稿日 : 2023年11月18日
読了日 : 2023年11月18日
本棚登録日 : 2023年11月12日

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