日本人のためのピケティ入門: 60分でわかる『21世紀の資本』のポイント

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  • 東洋経済新報社 (2014年12月12日発売)
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80ページほど。分厚いピケティの『21世紀の資本』を開設してくれる。忙しい人には、この解説本だけで良いのでは?それくらい、分かりやすい。

資本主義の根本的矛盾 r>g つまり、資本収益率が必ず成長率=国民所得の増加率を上回るため、格差拡大傾向を持つという矛盾。技術移転に格差縮小の効果があるが、資本蓄積は格差を拡大させる。この格差傾向を是正するには、グローバルな課税が必要であり、タックス・ヘイブンに資本逃避されると、上位層の所得が捕捉できない。

格差の大部分は同世代で起こっており、それは遺産相続によって拡大再生産される。この相続効果が現在の不平等の最大の原因だ。また、ハーバード大学の親の平均年収は45万ドル。教育による格差も拡大する。

我々に出来ることは何だろう。生まれながらの富裕層が富裕層を再生産する世界が、本当に理想的と言えるだろうか。高額な資産を手に入れられたら、後は金利のみで生きていける。それを宗教が禁止した時代もあるが、今は違う。適正に天才を生み出し、育むシステムこそ必要であり、環境や資産だけのギフテッドは無用ではないだろうか。

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感想投稿日 : 2016年7月12日
読了日 : 2016年7月12日
本棚登録日 : 2016年7月12日

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