憲法 第四版

著者 :
  • 岩波書店 (2007年3月9日発売)
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自由とは “困らない” 生活と私たちは解釈しているのではないだろうか。一応無難な毎日を過ごせている私は自由を享受しているという具合。裏腹に ”困る生活” が不自由となり、日常が思うようにならないので困る、これは不自由と判断する。それはおかしい。【困らない=自由が保障されている】と取り違えているのであれば、憲法第12条 "自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない" を再考して、やはり困る・困らないという状況認識ではなく、自由とはどういう社会・他者との繋がりが、より良い選択肢なのか絶えず模索する過程ではないだろうか。自己責任論は、憲法に記された "不断の努力" を曲解したものであり、憲法12条では上記の後に、"又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。" と続く。必死に守ろうとするテリトリーは脆く無常であり、流れ行く変化の中で互いに譲り合いたしなむ無形の光に自由という営みがある。自由は決して崇高ではなく俗に潜んでいる。権利もしかり。

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感想投稿日 : 2021年5月11日
読了日 : 2021年5月11日
本棚登録日 : 2021年5月11日

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