吉田修一も、こんな昼ドラみたいな小説書いてたのね。
単なるメロドラマで終わらず、一捻りされているところが「らしい」けれど。
主人公の桃子は、ちょっとセレブなごく普通の主婦に思える。
ほぼ桃子の一人称で小説は進んでいくが、その言動や感覚に直接的な違和感を覚えない。
が、どこかに狂気が潜んでいるようにも感じるのだ。
例えば、かつて勤めた会社の上司の言葉を真正直に頼って、再雇用を依頼しに訪ねてしまうあたりに、そのちょっとした「ズレ」が垣間見える。
日記のギミックにはわりと早い段階で気づいたが、このあたりの人物造形の微妙な巧みさが流石だと思う。
日常に隣接する危うい転落の可能性に触れてモヤモヤできる、という意味ではやはり昼ドラ的なんだよなぁ。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2019年1月6日
- 読了日 : 2015年3月30日
- 本棚登録日 : 2019年1月6日
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