幼い息子にチェスの才能を見出した著者がチェス教師とともに息子がチャンピオンになることを夢見る。そして、当人や周囲の人間が様々な葛藤の中で生きる姿を描いている。
1988年に米国で出版され、登場人物もすべて実名というドキュメンタリーであるが、なぜ、今翻訳が出たのだろうか。当然ながら、執筆時と現在では20年以上の時間差がある。登場人物のその後は、訳者のあとがきに少し記されている。
それでも、本書は面白かったし、読む価値があった。なぜなら、親の子どもへの期待であるとか、ときにそれが昂じて子どもをダメにしそうになったり、親が反省してありのままの子どもを愛そうとするといった親子関係は、時代、地域、子どもに期待する分野を問わず、普遍的なものであり、そのことが本書を通じて再確認できるからだ。その意味では、例えば、難関校に挑む受験生の親などが読むと、受験生の親向けのノウハウ本などよりも得るものがあるように思う。ちょっと長いのが難点だが。
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- 感想投稿日 : 2014年11月17日
- 読了日 : 2014年11月16日
- 本棚登録日 : 2014年11月17日
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