地下室の手記(新潮文庫)

  • 新潮社 (1969年12月30日発売)
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本棚登録 : 89
感想 : 10
4

自意識過剰で価値観を押し付けまくる主人公の傲慢、、横暴ぶりがとにかく激しかった。

P46「人間とは、二本足の恩知らずな動物」
人間とは、と言っているがきっと自分以外のすべてを指し、見下しているのが明らかである。

P143「愛情があれば、幸福なしでも生きていける。たとえ不幸だって、人生はいいものさ。」
主人公が売春宿で働くリーザに言い放った台詞。

愛情あってこその幸福じゃないの?
不幸な人生もいいってそれはあなたの意見じゃん、押し付けじゃん!
突飛さに吹き出してしまった/(-_-)\

P151「愛は神のみが知る秘密でね、たとえ何が起ころうが、他人の目からは隠しておかなければならないものなんだ」
結婚もしてないアンタが何語ってんだよ!ってな話。天狗ぶりが甚だしい。

極めつけの、リーザへの一言。
P155「そりゃ、この家(売春宿)だって、穢らわしいところには違いないけど、それはもう言わないよ」

言わないよってもう言ってるじゃねーか!
しかも穢らわしいとか、自分からそこに来てやることやってんのに何言ってんだか。
腹立つわ。相手の気持ちも考えてる発言しろっての。



そんな世間知らず過ぎる主人公がリーザに告白し、逃げられる結末が痛快でスカッとした!
偉そうなことを言っていたのに、実生活は貧困で荒廃した家に住んでいる主人公が、「嘘の仮面を被る(惨めな生活をしている自分を偽る)ことを卑劣だと自覚している」ことを告白するシーンは、腑に落ちた。救いがあってよかった。


ドストエフスキーは20代前半のとき、罪と罰が難解すぎて挫折したけど、今回31歳で挑戦して読了できて嬉しかった!
1度読んでもよく分からず、2度目でやっと内容が頭に入ってきた。やはり何度も読むことはいいことだ!
読み疲れて疲労困憊・・・。

読書状況:読みたい 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2023年5月22日
本棚登録日 : 2023年5月4日

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