「老後破産」という言葉を生み出した「NHKスペシャル」が2014年9月に放映され、さきほどの「下流老人」が出版されたのが2015年6月、NHKスペシャルの番組内容を書籍化した本書が翌7月に続いている。
単身高齢者の悲惨な生活実態が、多く人々の注意を集めるようになった。
これからさまざまな対策を講じられていくに違いない。
だが、問題はそう簡単に片付かないし、都市部の高齢化は急速に進むだろうから、事態はさらに深刻に、悲惨になるだろう。とりわけ、女性の単身高齢者の貧困問題が深刻化する。女性は男性より長生きする一方で、それまでの就業・収入の格差から経済的な蓄積が薄いのが一般的だからだ。
高齢者問題とは貧困問題であるということは、先進国・発展途上国を問わず共通の認識のはずである。
もちろん日本でも例外ではなかったはずで、いまさら騒ぎ立てるのはおかしなものだが、そのときになってみないと実感できないのは、個人の場合でも社会の場合でも同じなのかもしれない。
「長寿という悪夢」というサブタイトルが秀逸である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
本 :高齢社会
- 感想投稿日 : 2017年9月11日
- 読了日 : 2016年1月22日
- 本棚登録日 : 2017年9月11日
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