緩み具合といえば、友人(?)明石半太夫。
詐欺漢まがいのこの人物の造形もさることながら、主人公とのつきあいぶりが、いかにも古き良き江戸の、人と人との関わりを彷彿とさせる――もちろんそれは創作された世界ではあるが、そういう緩さもありえたのだろうと思わせてくれる――
もう一人の友人、朴訥な人柄の北見十蔵、そして主人公である神名平四郎、この三人の掛け合いぶりは目が離せない。
といってもそれは、この長編を構成する背景の一つに過ぎない。
連作短編という形式で、さまざまな事件を織り込みながら、作者の練達の筆は、物語を絞めたり緩めたり思うがままに、われわれに読むことの楽しさを提供してくれる。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
本 :時代小説
- 感想投稿日 : 2017年9月10日
- 読了日 : 2016年1月31日
- 本棚登録日 : 2017年9月10日
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