日々のきのこ

著者 :
  • 河出書房新社 (2021年12月22日発売)
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本棚登録 : 371
感想 : 30

笑えない土壌から面白さがひょっこり生えてくるような感覚。

しーーんという沈黙が、
ずーーっと鳴っているようなざわつき。
まるで音もなく胞子が舞うような、静かなる侵食。

脳内で絡み合う菌糸。
魅せられる、独特な世界。
ヒグチユウコさんの装画が絶妙にマッチ。

ほーっと呆けてるうちに、悪びれもなく菌は蔓延し、
それに対してこれといって危機感を持つ訳でもなく、
まぁそれはそれでいっか〜みたいな妙なゆるさが変に心地良い。

人々がなかなかどうしてきのこに魅せられるのは、
もしかしたら菌人化が進んでいる兆しなのかもしれない。

自分もなんかちょっときのこなのかも。
そんな風に思えてきて、
それでいて、
まぁそれもいっか〜なんて思えてくる、
不思議で可笑しな幻想小説。

ばふんばふんとページを歩んで
貴方も胞子を浴びたらよろし。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年5月4日
読了日 : 2022年5月4日
本棚登録日 : 2022年5月4日

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