農耕社会の成立〈シリーズ 日本古代史 1〉 (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店 (2010年10月21日発売)
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本棚登録 : 304
感想 : 33

2010年刊。著者は明治大学文学部教授。◆本書の対象たる弥生時代=灌漑稲作というテーゼ自体、その時期や地域によって差がありすぎて、とても同一の括りでは理解できないと思っていた(北海道と沖縄に灌漑稲作はなく、関東と北九州ではまるで時代相が違うのは明快)。本書はその事実を正面から受け止め、新書ながら、各地域の異同、特徴、相互関係(朝鮮半島や中国、特に長江流域にも目配せされる)ばかりか、旧石器時代や縄文時代との連続性に関心を向ける等、個人的に痒いところを掻いてくれた、これぞ読みたかった本といえるもの。
なお、邪馬台国論であるが、①北九州最大の伊都国(世々王ある)ですら「女王国に統属す」とある(魏志倭人伝の記載)から、女王国は北九州外の所在と見るべき、②纏向遺跡など、弥生末の大型墳墓等の存在と漢鏡出土地域が北九州から機内へ変動した事実から機内、奈良盆地南西部説とのこと。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月23日
読了日 : 2017年1月22日
本棚登録日 : 2017年1月22日

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