“文学少女”見習いの、傷心。 (ファミ通文庫) (ファミ通文庫 の 2-8-2)

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  • エンターブレイン (2009年12月26日発売)
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 文学少女シリーズ続編2幕。◆本編は全体構成上、最終巻に遠子本人の謎解きを持ってこざるを得ず、中盤は遠子のチートさが際立っていた。が、遠子が舞台から退場した結果、展開のパターンが外れ、逆に登場人物が相互に影響し合う関係が生じ、各々が夫々に成長・変化を来すという輻輳的な展開が可能になった。そのため、ある出来事が皆を成長させる好循環を生んでいる。◇真っ直ぐな菜乃の思慕が、遠子への閉鎖的な恋慕に囚われがちな心葉を解放する。菜乃は未体験の人間の黒い部分に直面。ななせは遠子への妬心や心葉への捻じ曲がった恋慕が素直に。
十望子や雫など直接的に本巻に関わるキャラクターはもちろん、臣のようなおよそ本題とは関係なさそうな人物までが、この中に含まれている。生きていれば、そして、前を向いて歩いていれば、人は、あるいは、人との関わりあいや繋がりあいは変えることができるのだ、文学少女全編に流れるこのモチーフを最もよく体現した一書のような気がしている。実に素晴らしい。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2017年1月22日
読了日 : 2017年1月22日
本棚登録日 : 2017年1月22日

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