最終巻は読んでいないが、ここで感想を。難しい。前作を高校時代に読み、よかったと思っていた自分としては複雑。殊に、前作の23巻・24巻を悪い意味で突き崩してしまったのはいかがなものか。飛島氏が描いた女神のようなナッキー、結婚宣言までした祝との関係。本作品はこれとはかなりかけ離れてしまった感あり。完結作品の続編は難しいだろうが…。むしろ、旧作とは離れ、若い教師の奮闘物語、生徒の成長物語とすれば、面白い作品になったように思う。沖田似の保護者、祝、田村夫妻等不要なキャラクターがそぎ落とされ、集中して描けるからだ。
ところが、本作品はここで終わらない。続編とした意味があるからだ。よきにつけ悪しきにつけ、前作・本作とおして、基本的にナッキーは聖人君子過ぎた。悲嘆を除き、嫉妬・妬み・悪意といったマイナス感情からは程遠いキャラクターだったわけだ。が、本作品では、終局に近づくにつれて、人間くさいナッキーが見れる。遠峰に走った祝に対して嫉妬・怒りを持っていたことを垣間見させるシーンがそれだ(ただし、嫉妬は明確ではない)。もちろん、両親(特に母)に対する拭い去れない恨みは明確にされている。実に人間らしいナッキーなのだ。20代の等身大の女性の姿がそこにある。そのため、ここまで読んできて、評価を難しくしているのだ。読みたくなかったような、読んでよかったような…。
これとは別に、作者は、ナッキーが祝を追いかける姿をほとんど描いていない(描きたくないのかな?)。
あの積極果敢なナッキーが祝に対してのみ何らの行動も起こさないのだ。沖田が死んでしまったことだけが原因ではあるまい。善良な家庭で育った祝とナッキーとの埋められない溝なのだろうか?
- 感想投稿日 : 2017年1月14日
- 読了日 : 2017年1月4日
- 本棚登録日 : 2017年1月4日
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