李香蘭私の半生 (新潮文庫 や 36-1)

  • 新潮社 (1990年12月1日発売)
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本棚登録 : 173
感想 : 19

1990年(底本1987年)刊。戦前の満州/撫順で幼年期を過ごした著者。その後、満映専属女優として、日本人でありながら中国人として映画等に出演、戦後もハリウッド/ブロードウェイに出演していたが、女優引退後は自民党所属の参議院議員としても名をはせた女性の半生記(事実上戦後直後まで)。映画史としても興味を引くが、それにも増して戦中時期の日中の境界線にいた著者目線の日中の実像が興味深い。中国人として北京の現地高校への通学時代に見聞・体験した中国の高校生の対日感情と行動。中国人として帰日した際の日本人の対応。
これらは境界線上にいた著者だからこそ実現できた記述で、なかなか目にすることはないだろう。なお、清朝皇帝の親族である男装の麗人/川島芳子の実像、満映トップの甘粕正彦の実像、あるいは色々な裏話が描かれる。なお、ゴーストライターにしなかった点は○。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 自叙伝
感想投稿日 : 2017年1月23日
読了日 : 2017年1月23日
本棚登録日 : 2017年1月23日

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