秀吉と海賊大名 - 海から見た戦国終焉 (中公新書 2146)

著者 :
  • 中央公論新社 (2012年1月24日発売)
3.66
  • (3)
  • (14)
  • (11)
  • (1)
  • (0)
本棚登録 : 124
感想 : 14

2012年刊。瀬戸内海を根拠に戦国を闊歩した村上水軍。彼らを取巻く情勢、殊に村上氏の主君河野氏との関係を織り交ぜつつ、信長権力末期から秀吉死亡までの実相を描写(一部徳川政権時期の記述あり)。軍事力として高い価値ある水軍を把握しているが、長宗我部、毛利・小早川、信長や秀吉、さらに義昭といった大勢力からの影響、関連諸勢力の緊迫した外交・戦争の経過を解説。ただ、本書の愁眉は、豊臣惣無事令が中世的権力を剥奪した、つまり大名・国人・領主層の自力救済権・交戦権を否定したと見る藤木久志説への再考を迫る点。興味深い一書。
なお、本能寺の変の裏面、義昭が信長に追放され鞆の浦に移動した後も「鞆幕府」ともいうべき実態があった、という点は注目に値する。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月19日
読了日 : 2017年1月19日
本棚登録日 : 2017年1月19日

みんなの感想をみる

コメント 0件

ツイートする