脳死 (中公文庫 M 274-2)

著者 :
  • 中央公論新社 (1988年11月10日発売)
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本棚登録 : 304
感想 : 20

1988年(底本1986年)刊。

 死は、臓器提供の是非だけに関わらない。

 死で区切られる境界、つまり死の定義は、相続・遺産分割、刑法犯の構成要件(殺人・傷害と死体損壊等等)、その他様々な影響がある。
 そして、脳死概念の創設は、この基準を大きく動かすことになる。すなわち、社会制度の大変革を齎すのだ。
 これは倫理問題とは別の視座である。

 本書で気になるのは、脳死の重要な要件である「不可逆」とは何か、そして不可逆でないとどうして言えるのか、という点である(従来は三兆候の総合判定で、経験的に誤謬が生じない)。

 確かに、脳死概念の意義を認めないわけではないが、こういう広範囲な影響と倫理面の意味合いを考えると、間違いなく難物なのは確かである。

 本書はこれに関し、一つの視座を付与するものだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2016年12月16日
読了日 : 2016年12月16日
本棚登録日 : 2016年12月16日

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