1988年(底本1986年)刊。
死は、臓器提供の是非だけに関わらない。
死で区切られる境界、つまり死の定義は、相続・遺産分割、刑法犯の構成要件(殺人・傷害と死体損壊等等)、その他様々な影響がある。
そして、脳死概念の創設は、この基準を大きく動かすことになる。すなわち、社会制度の大変革を齎すのだ。
これは倫理問題とは別の視座である。
本書で気になるのは、脳死の重要な要件である「不可逆」とは何か、そして不可逆でないとどうして言えるのか、という点である(従来は三兆候の総合判定で、経験的に誤謬が生じない)。
確かに、脳死概念の意義を認めないわけではないが、こういう広範囲な影響と倫理面の意味合いを考えると、間違いなく難物なのは確かである。
本書はこれに関し、一つの視座を付与するものだ。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2016年12月16日
- 読了日 : 2016年12月16日
- 本棚登録日 : 2016年12月16日
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