円安亡国 ドルで見る日本経済の真実 (文春新書 1030)

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  • 文藝春秋 (2015年7月21日発売)
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2015年刊。◆日本はアベノミクスによる円安傾向が顕著だが、基軸通貨ドル高とセットでもある。この急激な円安傾向の日本の経済を世界から見た場合、どう映るか。株価2万円台の回復を手放しで礼賛できるか。著者はドル頭で日本経済の実相を検討する意味を解説し、著者なりの数値・資料分析で日本経済を診断。◆その帰結は①ドル建てでの株価上昇も、円建てほどではない。②ドル建ての株価指数リターンはTOPIXも日経平均もマイナス。③鉱工業指数の上昇ないままの株価上昇はバブルの臭い。④土地等のストックはドル建てでは当然下落。
⑤アベノミクス開始前から経済回復の兆候有りだが、消費税増税でポシャる。⑥実質賃金の下落傾向に変わりなし、等々。◆ドル建て分析の必要は納得だが、それ以外の経済統計と数値分析は判断の手に余る。なので、アベノミクス支持者は、論点のすり替えはせずに本書への反論をしてほしいなぁ。◇円安は資源高を招来する以上、円安メリットは国内産業には及ばず、輸出産業のみに妥当。ところが、そんな中、トヨタは兎も角、家電メーカー・自動車メーカーでも企業毎の濃淡が顕著なので、マクロ面からみて全体で良くなっているのか?、とも。
◇かつ貿易赤字拡大⇒経常収支悪化だし。◇人口、特に生産人口の推移に依るGDP減も当然の帰結。◆なお、著者の言う、米ドル基軸通貨の意味、日本の米国債購入による、貿易収支黒字分の米への還流の問題は、80年代~今も変わらず。なぜ、国は米国債ではなく金の蓄積を目指さないか判らん??なぁ。◆沖縄返還関連の通貨問題は新奇。◆資産フライトに対する出国税を著者は批判。が「タックス・ヘイブン」の記述内容との比較から、この見解は是とし難い。なお、英シティがオフショア取引の窓口化=中の該取引への関与大=中が軸のAIIBに英参加

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ノンフィクション
感想投稿日 : 2017年1月24日
読了日 : 2017年1月24日
本棚登録日 : 2017年1月24日

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