2004年(底本1979年。旧版1953年)刊。著者は元日本海軍軍医中尉。◆戦争末期、捷一号作戦に伊56に乗艦して参加した著者が、さらに特攻兵器回天の訓練・発艦母艦となって出撃するまでを描写する体験録。◇軍医らしく、狭く苦しい潜水艦での乗員の疲労や負荷、食事の問題が詳しい。殊に本書の特異さが伺えるのは①映画「眼下の敵」よろしく、米駆逐艦との息詰まる無音戦での艦内描写と、②人間魚雷「回天」訓練中に見聞された回天搭乗員の一酸化炭素中毒(エンジンの不完全燃焼)や燃料である高オクタン価ガソリン混入の四エチル鉛禍。
②は、兵器の粗製乱造と乗員軽視の際たるものだが、①においてもその片鱗を感じなくはない。
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ノンフィクション
- 感想投稿日 : 2017年1月24日
- 読了日 : 2017年1月24日
- 本棚登録日 : 2017年1月24日
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